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明治23年東京に生まれ若くして木版画を学ぶ。19歳のときに、ギリシャを中心にヨーロッパを旅した。これが1908年から1941年まで続くことになった西欧での長期滞在の始まりであった。木版画の技術を認められ、江戸期の光琳、北斎等の原画からの複刻を大英博物館から依頼された。後に大英博物館の嘱託となる。ブランヴインの絵を木版画にした「ブルージュ」「10の木版画」木版画集は有名。1941年1月帰国、同年3月日本橋三越で木版画展を開催。そのカタログに現在の西洋美術館のコレクションのもとを築き、またブランヴィンと深い親交のあった松方幸次郎が文章を寄せているので一部を再録する。
[漆原木虫の事]
......母国に於いてこそ、その名を知る人は少ないけれど、欧米の芸術愛好家でその名を知らぬ者のない高名な存在である。大英博物館が彼を招聘し、過去25年間英国の誇りとするブランヴィン画伯が彼を唯一無二の力とした事、更には東洋美術研究の最高権威ビニヨン教授が彼の木版術に絶賛の辞を呈している......。
ブランヴィンと共に今だに日本では無名であるが、世界が認める優れた木版画家、漆原由次郎の仕事の一片を紹介して行きたいと思います。
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