外国で始まった幕末・明治の錦絵の再調査 |
¾ 北斎改為一筆〔富嶽三十六景〕凱風快晴 天保期 西村屋与八版 初摺 フランスギメ美術館 ドイツケルン東洋美術館所蔵¾ |
北斎改為一筆〔富嶽三十六景〕凱風快晴 北斎の没後、後摺、再版されたもの 「赤富士」の別称で世界に拡がった。 |
2005年東京国立博物館、2006年米国スミソニアン協会サックラー美術館で開催かれた2つの大規模な「北斎展」は、今迄の間違った江戸、明治の木版画の常識を覆す衝撃的なものであった。 北斎の錦絵風景画の傑作と高く評価されていた凱風快晴(赤富士)が北斎の没後、大衆に好まれる様に手直しされて出版されたものであった。 初摺は単純な色使いにかかわらず、早朝の清々しく雄大な富士山を簡潔な構図で表現している。 後版は北斎の意図に反して色鮮やかに、派手に豪華に摺られているが、初摺に見られる爽快さと、気高さは薄れ損なわれている様に思う。 |
北川歌麿 青楼七小町 「花紫」 寛政期 泉佐版 初版 歌麿の盛時、その名をかたる模倣絵師、或るいは偽版もあったらしく「正銘」と添記して本家の朱印をおしている。 文政6年~12年に来日時に<BR>シーボルトが収集した美人画の中の一点。 ライデン民族博物館所蔵 |
北川歌麿 「芸者亀吉」 寛政期 蔦屋重三郎版 画中に林忠正の捺印あり林は若井兼三郎等と明治10年頃よりパリで日本美術を販売していた。 (扱った錦絵の中に何点本物の江戸摺の初版があっただろうか・・・) |
シーボルトは他に当時活躍中の北斎と川原慶賀の肉筆画、錦絵では国貞、春扇、英山、英泉、国芳、豊国、広重を多数収集して持ち帰っている。 初版の「花紫」は幕府の節約令の制約の中、粗末な紙に摺られ限られた色数、浅い摺りで退色も目立つが、精一杯の仕事が髪の毛一筋一筋にあらわれ、歌麿の意向をわきまえた彫、摺の見事な質の高い作品になっている。 目を細めて何かを想う、憂いを含んだ表情、柔らかい曲線で入っている髪の生え際、ほつれ毛、線一本を大切にした優れた技術に支えられた名作である。 それに比べ「芸者亀吉」は彫も摺りも巧みなものだが、美しさのみが表面に出て上品だが女の生きた情感は消え、彫師が違うにしてもとても同じ絵師のものとは思えない。 今世界で錦絵の研究者、博物館、美術館の専門の学芸員達の間で、あやふやな江戸、明治の伝統木版画の再調査、研究が始まったばかりで、今後どんどん新しい事実が明らかになっていく事だろう。 2006年6月 茜画廊 |
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