明治・大正の名作木版画展

2011年1月6日(木)~2月6日(日)

 外国で高く評価され、画家、コレクター、美術館、博物館が蒐集、所蔵している明治・大正期に作られた日本伝統の木版画は、残念ながら本国日本ではほとんど知られていません。未だに画集も刊行、出版されず、まれに美術館や美術誌で紹介される程度でしかありません。日本画で著名な渡辺省亭、竹内棲鳳(栖鳳)、上村松園らが木版画の特性や良さを充分に知った上で自ら下絵を描き数々の木版画を創り出したことを知る人は少ないのです。
 日本の美術書や教科書によると江戸の浮世絵の流れは明治期に清親、芳年らを最後に終焉、後はいきなり明治末期の新版画や創作版画に歴史は飛ぶのであります。しかしながら日本の木版画は実はこの間に大きな飛躍を遂げました。幕末以来ジャポニズムに狂乱した外国人達は日本の木版画を眼の色を変えて求めました。それに日本は応え多量の木版画を作り、技術は飛躍的に向上、それは木版画史上最高の域に達したと言っていいでしょう。それは膨大に作られた江戸物の復刻や国華に代表される複製木版画によるところも大きいのですが、今回はその時期のオリジナルな名作木版画に焦点をあて紹介いたします。
 市場に氾濫する上村松園、横山大観、東山魁夷、平山郁夫ら有名画家の日本画から作られた豪華な複製物(複製にもかかわらずあまりにも高価)と違い、高度な技術とするどい感性をもって彫師、摺師と共に創り上げたオリジナルな本物の木版画をお楽しみ下さい。
 茜所蔵品の中から100点余を展示・紹介いたします。なお同時期に活躍した芳年、国周、周延ら旧派の物につきましては今回省きました。別の機会に紹介させていただきます。

〔紹介作家〕
渡辺省亭 水野年方 梶田半古 山本昇雲 月岡耕漁 尾形月耕 上村松園
岡田三郎助 小原古邨 島成園 北野恒富 竹内栖鳳(棲鳳) 吉川観方 他


都のにしき(愛犬)  ¾¾ 中古風俗
水野年方 三井好 都のにしき(愛犬)
 明治23年 21cm×30cm
滑稽堂秋山版(初摺)
スミソニアン・サックラー美術館所蔵


上村松園 中古風俗
明治41年 26.6cm×19.8cm
嵩山堂(初版)
摺 能村栄吉


丹頂鶴  ¾¾ 棲鳳十二富士〕樹間の鵑聲
小原古邨 丹頂鶴
明治40年頃 34.8cm×18.6cm
松本平吉版(初摺)
オランダ国立アムステルダム美術館所蔵



竹内棲鳳 〔棲鳳十二富士〕樹間の鵑聲
 明治27年 17.5cm×29.1cm
オランダ国立アムステルダム美術館〔富士山展〕出品作品


柳に駒鳥  ¾¾ 「夕霧阿波鳴海」の夕霧
渡辺省亭 柳に駒鳥
大正5年 20.8cm×31.6cm
大倉保五郎版(初版)
ワシントン・サックラー美術館所蔵



島成園 「夕霧阿波鳴海」の夕霧
 大正11年 38.4cm×27.4cm
 彫、山岸主税 摺、西村熊吉


雪女  ¾¾ 釣り人
上村松園 雪女
大正11年 38cm×26cm
彫、山岸主税 摺、西村熊吉



山本昇雲 釣り人
  明治30年代 9.2cm×14.4cm
葉書版(摺物)


樹上の鳩  ¾¾ 〔能楽百番〕橋弁慶
梶田半古 樹上の鳩
明治30年頃 20.6cm×30cm



月岡耕漁 〔能楽百番〕橋弁慶
   大正10年~15年 37.5cm×25.5cm
大黒屋松木平吉(初摺)
ムラーコレクション旧蔵


提督丁汝昌於官宅自殺図
水野年方 提督丁汝昌於官宅自殺図
明治28年 35.4cm×70.5cm
三枚続き
フランス国立ギメ美術館所蔵




 他の作品は、《作品検索&販売》でご覧ください。




茜画廊
代表 船倉 禎二
三島市東本町1-15-1山川ビル2F
Tel&Fax 055-971-9823

E-mail : info@akanegarou.com


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