五渡亭 歌川国貞 美人画展 2015年6月13日(土)~8月16日(日) 江戸の浮世絵界の巨人「歌川国貞」没後150年がたちました。このたび改めて歌川国貞を紹介をさせていただきます。 歌麿、写楽、北斎、広重など、幕末、明治期に再版されたものが多いのに比べ国貞(三代豊国)はシーボルトが在日中(文政6年~12年。安政6年~文久2年)に活躍していた絵師で、シーボルトが最も多く収集し、大量に持ち帰えりました。お陰で本物の江戸摺りが現在でも多く残っています。 国立ライデン民族学博物館を筆頭に、ギメ美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館、大英博物館、日本では静嘉堂文庫が多くを所蔵しています。歌川国貞が描く浮世絵は他の錦絵と共に遙か海を渡ってヨーロッパに拡がり浮世絵ブームを引き起こしました。国貞といえば特に有名なのが役者絵と美人画。今回はその中で五渡亭時代の美人画を紹介します。 江戸の浮世絵は幕府の倹約令のおかげで制約が多く、質素な紙に少ない摺り数で蕎麦一杯の値段であったそうです。板は後刷りのための保管はされず、摺り終えるとすぐに次の作品のため削られていったと聞きます。幕末以降の作品に比べると一発勝負のまことにシンプルで清々とした美しさを持っているのが特徴です。中でも国貞の女性は表情豊かで色気があり、江戸当時の生活を彷彿とさせる、美術品としても歴史資料としても価値のあるすばらしい作品の数々です。ご観覧下さい。 〈以下補足〉 1段目から3段目にかけては同じ作品で趣を異にするものを並べて掲載してみました。版画は1枚1枚手で摺るのです。ですから1枚毎に異なるのは当然です。しかしここに示した例はあえて故意に摺り分けているものです。色やぼかしがかなり異なります(1、2段目の例)。こういった例は非常に多いです。先ほど述べましたように後摺はありません。初摺工程の中で摺り分けたと考えられます。またスポンサーがついて入銀となったり表題が付いたりするまで見本として最初の最初に摺って見せるものもあります(2、3段目の例)。そのように細かいところを比べて見るのも浮世絵の楽しさのひとつです。 |
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歌川国貞(五渡亭) 星の霜当世風俗 蚊やき 安政2年頃・木版画 35.8㎝×24.3㎝ 茜画廊所蔵 |
同左 太田記念美術館所蔵の作品 (2014年 太田記念美術館 歌川国貞展 画集より) |
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歌川国貞(五渡亭) 吸い付け煙草 安政2年頃・木版画 38.6㎝×25.9㎝ 茜画廊所蔵 |
同左 北海道立近代美術館所蔵の作品 (2014年 太田記念美術館 歌川国貞展 画集より) |
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歌川国貞(五渡亭) 夕立や 文政6年・木版画 38.6㎝×26.0㎝ 茜画廊所蔵 |
同左 静嘉堂文庫所蔵の作品 (1996年 静嘉堂文庫 歌川国貞 画集より) |
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歌川国貞(豊国三代) 全盛見立三福神(3枚綴) 文政8年(1825年)・木版画 36.8㎝×76.8㎝ 号 五渡亭 摺 能村栄吉 山本屋平吉版 初摺 彫、摺極良、退色、汚れ、裁ち 静嘉堂文庫所蔵 後版の藍摺りもあり(天保5年頃) |
歌川国貞(豊国三代) 〔当時高名会席盡〕芳町桜井 文政2年(1819年)・木版画 37.0㎝×25.0㎝ 号 五渡亭 版元 山口屋 初摺 シーボルトコレクション オランダ国立ライデン博物館所蔵 大英博物館所蔵 退色、汚れ、裁ち |
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歌川国貞(豊国三代) 江戸八景ノ内〕品川 文化期(1804年~1817年)・木版画 37.0㎝×25.0㎝ 号 五渡亭 西村屋与八版 初摺 彫、摺極良、退色、汚れ 大英博物館所蔵 |
歌川国貞(豊国三代) 〔当世道行振〕小さん金五郎 文政中期(1824年頃)・木版画 37.3㎝×25.0㎝ 号 五渡亭 太田屋佐吉版 初摺 シーボルトコレクション オランダ国立ライデン博物館所蔵 焼け、汚れ、虫穴 |
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歌川国貞(豊国三代) 〔吉原時計〕亥ノ刻 文政中期(1820年頃)・木版画 37.4㎝×25.6㎝ 号 五渡亭 榎本吉兵衛版 初摺 シーボルトコレクション オランダ国立ライデン博物館所蔵 汚れ、虫穴 |
歌川国貞(豊国三代) 勝景鏡 高縄 文政8年(1825年)・木版画 38.2㎝×26.0㎝ 号 五渡亭 山口版(初版) 静嘉堂文庫所蔵 彫、摺良、汚れ、虫穴、滲 |
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