幕末最高の絵師
三代豊国錦絵展

2010年9月4日(土)~11月7日(日)

 江戸後期の人気絵師三代豊国(初代歌川国貞)描く浮世絵は他の錦絵と共に遙か海を渡ってヨーロッパに拡がり浮世絵ブームを起こした。
 多くの博物館、美術館、コレクター、画家等が蒐集したが、たとえばゴッホも三代豊国に魅せられたひとり。集めた400点の内三代豊国の美人絵、源氏絵、等が159点あり(広重47点、国芳47点)、それらは現在国立アムステルダムゴッホ美術館に所蔵されている。
 三代豊国描く浮世絵は驚くほど多量にある。海外の需要に応えるために40人の弟子達にも手伝わせたと思われ、名作からほとんど知られていない作品まで種々雑多である。
 今回はそれらの中から名作シリーズ「豊国漫画」より3点、「白波六歌撰」より6点、「見立闇づくし」から6点、「時代世話当姿見」から4点、他に「東海道五十三次の内」「木曾六十九駅」「今様押絵鏡」等のシリーズものや美人絵、芝居役者絵、源氏絵等、途中入れ替えにて60点余を展示・紹介いたします。

 他に広重の名作「東海道五十三次」(保永堂版・天保四年)に絵が転用されたともされるシリーズ「美人東海道」(中判錦絵、天保元年)2点と、五渡亭国貞を名乗った頃の美人絵の名作、数点を特別展示いたします。

磨き仕事  ¾¾ 海軍省(空想と願い)
〔見立て闇づくし〕八百屋お七 安政元年
ヴィクトリア&アルバート博物館所蔵


〔四季之内〕秋 椀久 文久2年
ゴッホ旧蔵 ゴッホ美術館所蔵


磨き仕事  ¾¾ 海軍省(空想と願い)
〔豊国漫画図絵〕若菜姫
万延元年



〔見立白浪六歌撰〕石川五右衛門
文久元年





特別展示作品 五渡亭国貞

 江戸物の浮世絵の中で世界中に大量にある歌麿、北斎、広重、写楽のそれはいつ誰が描いて、いつ出版された物か、おぼつかないものも少なくないのに比べ、五渡亭国貞の作品は明確である。1823年F・フォン・シーボルト博士はオランダ商館の医官として来日、1829年に帰国する間に日本の美術工芸品を多岐にわたり蒐集している。それらは国王ウィルレム一世が購入を決定し1837年コレクションはライデンで始めて公開され、それが現在の国立ライデン民族学博物館の基礎となった。
 錦絵は写楽、歌麿、豊国、広重、国芳、英山、英泉等を集めているが圧倒的に五渡亭国貞が多い。他に北斎の版本「絵本隅田川両岸一覧」「北斎漫画」等を蒐集している。
 1859年に再来日したシーボルトは幕府筋から歓迎され英雄扱いの2年間に広重の名作「名所江戸百景」初版等を蒐集、ライデン博物館の所蔵品となっている。ライデン博物館の浮世絵が貴重なのは国貞や北斎、広重が活躍していたその時期に集められた物であって他のミュージアムの所蔵品とは比類を絶するものである。本物の江戸錦絵を知るにはシーボルトの資料か、ライデン博物館の所蔵品を調べるのが最適であろう。

 なお日本では五渡亭国貞の描く見事な美人錦絵の良品を多数所蔵している静嘉堂文庫が平成8年に「歌川国貞展」を、そして現在静嘉堂文庫美術館にて「錦絵の美ー国貞。広重の世界ー展」が8月8日まで開催されている。本物を追求する浮世絵ファンの必見の絵画展である。

 五渡亭国貞の作品は数が少なく貴重品である。また本物故に年月も経過して退色、虫食い、裁ち等があり良品は更に稀少で至宝と言われる所以である。(「今風化粧鏡」「吉原時計」「星の霜当世風俗」等明治以降の復刻版あり注意)

 今回の三代豊国錦絵展に並行して、当画廊が所有する五渡亭国貞の名作錦絵の中から夕立や、〔江戸自慢〕開帳の朝参、〔当時高名会席尽〕芳町桜井、〔花街問答〕うぬぼれ客を、〔吉原時計〕寅の刻、〔江戸八景の内〕品川、〔江戸っ子揃ひいきがた気〕浜村屋風を特別展示致します。 

磨き仕事  ¾¾ 海軍省(空想と願い)
〔夕立や〕 文政6年  東屋大助版



〔花街問答〕うぬぼれ客を 文政期 東屋大助版
オランダ国立ライデン民族学博物館所蔵





 他の作品は、《作品検索&販売》でご覧ください。




茜画廊
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