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『美術世界』は明治24年から明治27年にかけて出版され25巻で完結した美術誌である。編集者:渡辺省亭、彫師:五島徳次郎、摺師:吉田市松、小松角太郎、発行:東京春陽堂による明治期で最も美しい「美術木版画集」と言われた。省亭から下絵の依頼を受けた柴田是真、河鍋暁斎、滝和亭、鈴木華邨、幸野楳嶺、水野年方、橋本雅邦、竹内棲鳳、熊谷直彦、月岡芳年、富岡永洗など明治を代表するそうそうたる絵師達が力のこもった下絵を描き、卓越した技術を持つ名彫師、名摺師らが創り出したみごとな「多色摺り木版画集」である。
残念ながら日本では一部の人にしか評価されず、海外で高く評価された。浮世絵ブームの欧米に主に輸出され、コレクター、画家、博物館、美術館等による蒐集、所蔵品となった。関東大震災、戦争で日本に残っていた多くは焼失し、完全な形で残存している物は少なく、貴重である。
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